費用の目安は公開されている料金表と公的統計から集計し、出典を各記事に載せています。 編集方針
費用相場 相場データ

産業廃棄物の処理費用・料金相場の全体像

公開

産廃台帳編集部

産業廃棄物の処理料金に公定価格はありません。ただし、公的機関や公益法人が運営する処理施設は料金表を公表しています。この記事では、公表されている料金表を同じ単位に揃えて並べ、廃棄物の種類別に金額の幅を示します。

この記事の結論

  • 産業廃棄物の処理費用は「収集運搬費」「処分費」「産業廃棄物税」「消費税」の4つが積み上がった金額です。見積書がこの4つに分かれていない場合は、内訳を出してもらうところから始めます。
  • 公表されている料金表は円/トン・円/10kg・円/台と単位がばらばらです。比べる前に円/トンへ揃えます。
  • 同じ廃棄物の種類でも、公表単価は施設によって2倍以上の開きがあります。金額だけを見ず、単位・税の扱い・受入条件をセットで確認します。
読む時間 約8分
手元に用意するもの 見積書・廃棄物の種類と数量
この記事で分かること 種類別の公表単価の幅と、比較の前にそろえる4項目

費用は4つの積み上げでできている

産業廃棄物の処理でかかる金額は、次の4つが積み上がったものです。見積書がこの4つに分かれていないときは、内訳を出してもらうところから始めます

費目何に対する費用か金額が動く要因
収集運搬費排出場所から処理施設まで運ぶ費用距離・車種・積載量・回収回数・待機時間
処分費中間処理(焼却・破砕など)と最終処分(埋立)の費用廃棄物の種類・性状・含水率・分別状態
産業廃棄物税都道府県などが条例で定める法定外目的税搬入先の自治体・課税方式。愛知県では1トンにつき1,000円
消費税上記に対する消費税および地方消費税料金表が税込表示か税抜表示か

出典愛知県「産業廃棄物税」/島根県環境管理センター「処理料金表」(税・産廃税の扱い)

公表料金表を読むときの落とし穴は、この4つのどこまでを含んだ金額なのかが施設ごとに違うことです。総額で書く施設もあれば、本体価格だけを書いて税を別に加算する施設もあります。

廃棄物の種類は20区分で決まっている

料金表の行がすべて「汚泥」「がれき類」といった言葉で立っているのは、廃棄物処理法第2条第4項および政令第2条が産業廃棄物を20種類に区分しているためです。燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・ガラスくず等・鉱さい・がれき類・ばいじんの12種類はあらゆる事業活動から出るもので、紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体の7種類は業種が指定されています。20番目は、これらを処分するために処理した結果生じたもののうち、上の19種類のいずれにも当たらないものです。

見積書の品目名がこの区分から外れているときは、どの区分として契約するのかを確認します。区分が変われば委託契約書とマニフェストの記載も変わります。

公表されている処分料金の水準

公的機関・公益法人が運営する処理施設は、料金表をインターネット上で公表しています。まず1施設の料金表を種類別に並べると、種類による差の大きさが分かります。

公表されている処分料金の例(円/トン・消費税込)
06,00012,00018,00024,00030,000がれき類12,210円鉱さい13,200円金属くず14,410円汚泥A14,850円ゴムくず16,610円廃プラスチック類17,600円燃え殻22,220円シュレッダーダスト26,730円
015,00030,000がれき類12,210円鉱さい13,200円金属くず14,410円汚泥A14,850円ゴムくず16,610円廃プラスチック類17,600円燃え殻22,220円シュレッダーダスト26,730円

出典大阪湾広域臨海環境整備センター「処分料金表」(令和7年4月改定・消費税10%を含む)

同じ施設の中でも、がれき類と燃え殻では1.8倍の差があります。処理の手間と最終処分場での扱いが違うためです。混合状態で出すと高い方の単価が適用されることがあり、分別が金額に直結します。

3つの地域の公表料金表を並べる

次に、東北・近畿・中国の3施設の公表料金表を同じ表に並べます。単位はそれぞれ円/トン、円/10kg で公表されているため、円/トンに揃えています。

廃棄物の種類近畿
(円/t・消費税込)
中国
(本体/総額・円/t)
東北
(円/t・税抜)
汚泥14,850〜17,60010,000〜17,000/12,000〜19,70026,000
燃え殻22,22012,000/14,20029,000
ばいじん22,22010,000/12,00029,000
鉱さい13,2008,000/9,80013,000〜26,000
がれき類12,21010,000/12,00029,000
ガラスくず・陶磁器くず14,41010,000〜25,000/12,000〜28,50031,000
金属くず14,41015,000/17,500記載なし
廃プラスチック類17,60025,000/28,500記載なし
ゴムくず16,61015,000/17,500記載なし
木くず記載なし15,000/17,500記載なし

出典大阪湾広域臨海環境整備センター「処分料金表」(令和7年4月改定)/島根県環境管理センター「処理料金表」/クリーンいわて事業団「受入品目・処理料金」(令和6年8月1日から)東北の値は円/10kg表示を円/トンに換算

「記載なし」は、その施設の公表料金表にその種類の行がないという意味です。東北の施設の廃プラスチック類・木くず・紙くずはアスベスト含有物としてのみ料金が示されているため、一般の同種廃棄物と比較できないものとしてこの表からは外しています。

「がれき類」の公表単価を3施設で並べる(表示されている値のまま・円/トン)
07,00014,00021,00028,00035,000近畿(消費税込の総額)12,210円中国(税・産廃税込の総額)12,000円東北(税抜の本体価格)29,000円
017,50035,000近畿(消費税込の総額)12,210円中国(税・産廃税込の総額)12,000円東北(税抜の本体価格)29,000円

出典大阪湾広域臨海環境整備センター/島根県環境管理センター/クリーンいわて事業団の各公表料金表(東北の値は290円/10kgを円/トンに換算・税の扱いは施設ごとに異なる)

がれき類だけを取り出すと、公表されている数字は12,000円台と29,000円で2倍以上開きます。ただし左の2つは税を含んだ総額、右は税抜の本体価格です。税の扱いを揃えないまま並べると、差を実際より小さく見誤ります

総額と本体の関係は計算で確かめられます

島根県環境管理センターの料金表では、有機汚泥の処理単価12,000円/トンに対して総額単価が14,200円/トンです。12,000円 × 1.1 + 1,000円 = 14,200円 となり、消費税10%と島根県産業廃棄物減量税1,000円/トンが加算されていることが数字で確認できます。見積書でも同じ検算ができます。

比べる前にそろえる4項目

複数社の金額を横に並べる前に、次の4項目をそろえます。1つでもずれていると、金額の大小は比較になりません。

  1. 単位 — 円/トン・円/kg・円/立方メートル・円/台のどれか。台建ての場合は積載量と重量換算係数が要ります
  2. 税の扱い — 消費税と産業廃棄物税を含む総額か、本体価格か
  3. 費目の範囲 — 収集運搬費が含まれるか、処分費だけか
  4. 受入条件 — 大きさの制限、分別の程度、含水率、異物混入の可否

受入条件は金額に直結します。公表料金表でも、分別されていない廃棄物や土砂が付着した廃棄物には割り増しがかかる、あるいは受け入れない旨が示されている例があります。

全国の排出量から見た構成

金額の話と別に、自社の廃棄物がどのくらい一般的なものかを知っておくと、業者の対応の温度感が読めます。環境省の集計では、令和5年度の産業廃棄物の総排出量は3億6,725万トン、最終処分量は875万トンでした。種類別では汚泥が1億5,854万トン(42.1%)で最も多く、動物のふん尿8,036万トン、がれき類6,068万トンと続きます。

排出量が多い種類は処理ルートが確立していて、比較できる委託先も見つかりやすい傾向があります。逆に排出量の少ない種類や特別管理産業廃棄物は、受け入れられる施設自体が限られます。

よくある質問

産業廃棄物の処理費用に定価はありますか。

定価はありません。処理料金は排出事業者と処理業者の契約で決まります。ただし公的機関や公益法人が運営する処理施設は料金表を公表しており、種類別の水準を知る手がかりになります。

見積書の「処理費」には何が含まれていますか。

施設によって異なります。公表料金表でも、消費税と産業廃棄物税を含めた総額で示す施設と、本体価格だけを示して税を別に加算する施設があります。総額なのか本体なのかを確認してから比べます。

産業廃棄物税とは何ですか。

都道府県などが条例で定める法定外目的税です。愛知県と岩手県では、最終処分場に搬入された産業廃棄物1トンにつき1,000円が課されます。島根県環境管理センターの料金表にも、島根県産業廃棄物減量税として1トンにつき1,000円が総額単価に含まれる旨が記載されています。導入の有無と課税方式は自治体ごとに異なります。

この記事で解決しないこと

  • 手元の見積金額が妥当かどうかの判定はしません。掲載しているのは公表されている料金表の値で、実際の契約金額ではありません。
  • 収集運搬費については、全国を横断した公表相場を公的機関の資料からは確認できませんでした。距離・車両・回数で決まるため、この記事では金額の目安を示していません。
  • 掲載した施設はいずれも受入基準があり、同じ種類名でも性状によって受け入れられない場合があります。

この範囲を扱う記事: 収集運搬費の内訳と確認項目を見る

参照した資料

資料 大阪湾広域臨海環境整備センター「処分料金表」 (令和7年4月改定・単位は円/トン・消費税10%を含む)

資料 公益財団法人島根県環境管理センター「処理料金表」 (総額単価に消費税および島根県産業廃棄物減量税(1,000円/トン)を含む)

資料 一般財団法人クリーンいわて事業団「受入品目・処理料金」 (令和6年8月1日から・単位は円/10kg・税抜)

資料 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)について」 (令和8年3月27日公表)

資料 東京二十三区清掃一部事務組合「産業廃棄物一覧表」 (廃棄物処理法第2条第4項・政令第2条に基づく20種類の区分)

資料 愛知県「産業廃棄物税」 (最終処分場に搬入された産業廃棄物1トンにつき1,000円)

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次にやること

手元の見積書を同じ単位に直す

円/立方メートル・円/台で書かれた見積もりは、重量換算係数で円/トンに直さないと比べられません。換算のしかたをまとめています。

単価の読み方を見る

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