廃油・燃え殻・スプレー缶など液体・危険物系の処分費相場
液体系の産業廃棄物は、公共関与型の処分場の料金表に単価が載っていないことが少なくありません。受け入れていないためです。液状のものが埋立処分できない仕組みと、埋立処分になる燃え殻・ばいじんの公表単価、引火性廃油の境目を分けて整理しました。
この記事の結論
- 液状の廃棄物は埋め立てられない。廃油(タールピッチ類を除く)は焼却または熱分解、廃酸・廃アルカリは埋立処分を行ってはならないと定められている
- 引火点がおおむね70℃未満の液状の廃油は、実務上「引火性廃油」として特別管理産業廃棄物に準じて扱われる。委託先の許可も料金体系も別になる
- 燃え殻・ばいじんの埋立処分の公表単価は、1トンあたり12,500〜30,000円(税抜・産業廃棄物税を含む)
- 廃エアゾール製品を破砕してガスを放出させる作業は、国の通知で産業廃棄物の中間処理に該当するとされている
液状の廃棄物は埋め立てられない
液体系の処理費用を調べようとして料金表にたどり着けないのは、探し方の問題ではありません。液状のものは埋立処分の対象外だからです。
産業廃棄物処理事業振興財団が整理する処分基準では、品目ごとに次のように定められています。
| 品目 | 処分基準 |
|---|---|
| 廃油(タールピッチ類を除く) | 焼却設備による焼却、または熱分解設備による熱分解を行うこと |
| 廃酸・廃アルカリ | 埋立処分を行ってはならないこと |
| 燃え殻・ばいじん | 大気中に飛散しないよう水分添加・固型化・梱包等の措置。運搬車の洗浄。埋立地外へ飛散・流出しないよう表面を土砂で覆う等の措置 |
出典公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「処分基準(政令第6条、第6条の5)」(2026年8月11日確認)
処分場側の受入条件にも同じ線が引かれています。大阪湾広域臨海環境整備センターは、よくあるご質問のなかで、廃油・廃酸・廃アルカリ等の液体のものを受け入れないと明記しています。液体系の処理費用は、埋立処分場の料金表ではなく、焼却・中和などの中間処理施設の料金として決まります。
埋立処分になる品目の公表単価
液体系のなかで埋立処分の対象になるのは、タールピッチ類の廃油と、焼却後に残る燃え殻・ばいじんです。
出典岡山県環境保全事業団・大阪湾広域臨海環境整備センター・クリーンいわて事業団の公表料金表(編集部で1トンあたり・消費税抜きに換算)(2026年8月11日確認。産業廃棄物税を実施している県の施設は1トンあたり1,000円を加算)
タールピッチ類の廃油については、岡山県環境保全事業団の単価表に埋立処分20,000円/トン(税抜)が掲載されています。同じ表では、ゴムくずが20,000円/トン、廃プラスチック類が21,000円/トンで、燃え殻の11,500円/トンより高い水準に置かれています。
環境省の令和5年度実績では、燃え殻は最終処分の比率が18.7%で、ゴムくず(25.5%)に次いで2番目に高い品目です。埋め立てる割合が高いということは、処分場の単価がそのまま費用に効くということでもあります。
出典環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」(令和8年3月27日公表)
排出量では、ばいじんが約1,463万トンで液体・燃焼残さ系のなかで最大です。廃油は約329万トンで再生利用率46.1%、廃酸は約289万トンで33.0%、廃アルカリは約260万トンで22.4%と、いずれも全体平均(54.7%)を下回ります。
引火性廃油の境目
廃油のなかには特別管理産業廃棄物にあたるものがあります。廃棄物処理法施行令では、廃油のうち燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除いたものが対象で、環境省令では「タールピッチ類」と「揮発油類、灯油類及び軽油類を除く廃油」が燃焼しにくいものとされています。
実務上の判断基準について、大阪府はQ&Aで次の取り扱いを示しています。
法の趣旨に鑑み、引火点概ね70℃未満の液状を呈する廃油(廃溶剤を含む)を特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」として取り扱っています。具体的には、メタノール等の引火点概ね70℃未満のアルコール類も特別管理産業廃棄物に準じて取り扱うことが必要です。
同じQ&Aは、引火性廃油を他の廃油と混合して引火点をおおむね70℃以上にし、一般的な廃油として処理することは特別管理産業廃棄物の処理基準に適合せず認められない、としています。薄めて区分を変える扱いは基準の外という点は、見積もりの安さの理由を確認するときの観点になります。
特別管理産業廃棄物に該当すると、委託先に求められる許可の区分、委託契約書の記載、マニフェストの取り扱いが通常の産業廃棄物と変わります。単価だけでなく、委託先が特別管理産業廃棄物の許可を持っているかの確認が先に必要です。
スプレー缶(廃エアゾール製品)の扱い
事業所から出るスプレー缶は、中身のガスが残っているかどうかで作業の性質が変わります。厚生省が平成9年12月16日付け衛産67号で発出した「廃棄物処理事業における爆発事故防止対策の徹底について」は、次の点を示しています。
- 返品されたスプレー缶等の廃エアゾール製品を破砕し、充てんされているガスを放出させる作業は産業廃棄物の中間処理に該当する
- 可燃性液化ガスは気化して多量の可燃性蒸気を発生する
- その蒸気は通常空気より重く、容易に大気中に拡散せず、特に窪地等に滞留する可能性が高い
この通知は、返品されたスプレー缶等の処理に伴う爆発・火災事故が相次いだことを背景に出されたものです。
スプレー缶は「中身が残っている缶」と「使い切った缶」で扱いが分かれます。数量を缶数で伝えるか重量で伝えるか、ガス抜き作業を委託先に含めるかで単価の前提が変わるため、見積もり依頼の時点でこの2点を分けて伝えると比較できる見積もりが返ってきます。
見積書で確認する項目
| 確認する項目 | 確認の内容 |
|---|---|
| 処理方法 | 焼却・熱分解・中和・埋立のどれか。処分基準に適合する方法か |
| 特別管理の区分 | 引火性廃油・強酸・強アルカリ等にあたるか。委託先が特別管理産業廃棄物の許可を持つか |
| 単位 | 円/kg・円/リットル・円/ドラム缶(200L)・円/トンのどれか |
| 容器の扱い | ドラム缶・ペール缶の容器代、容器の返却・処分費が別か |
| 分析費用 | 受入前の成分分析・引火点測定が必要か。その費用の負担者 |
| スプレー缶 | 中身の残った缶を含むか。ガス抜き作業が委託範囲に入るか |
| 産業廃棄物税 | 埋立処分になる品目のみ課税対象。搬入先の道府県が導入しているか |
出典公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「処分基準」、大阪府「その他の特別管理産業廃棄物等のQ&A」、各施設の公表料金表の記載項目をもとに編集部で整理
よくある質問
廃油は埋め立てられますか。
タールピッチ類を除く廃油は、焼却設備による焼却または熱分解設備による熱分解を行うことが処分基準で定められています。タールピッチ類は埋立処分の対象になり、公表単価では1トンあたり20,000円(税抜)とする例があります。
引火性廃油とはどこからですか。
廃棄物処理法施行令では、揮発油類・灯油類・軽油類が対象とされています。大阪府の公表するQ&Aでは、法の趣旨に鑑み、引火点がおおむね70℃未満の液状の廃油(廃溶剤を含む)を特別管理産業廃棄物の引火性廃油として取り扱うとしています。
事業所から出るスプレー缶は自社で穴をあけて処分してよいですか。
国の通知では、廃エアゾール製品を破砕して充てんされているガスを放出させる作業は産業廃棄物の中間処理に該当するとされています。可燃性ガスによる爆発・火災事故を背景に発出された通知で、作業を行う場合は処理基準に沿った方法と設備が前提になります。
この記事で分からないこと
- 液状の廃棄物は公共関与型の処分場が受け入れていないため、公的機関が公表する処理単価をこの記事の調査では確認できませんでした。廃油・廃酸・廃アルカリの単価の目安は掲載していません
- 引火性廃油など特別管理産業廃棄物の処理単価も、公的機関の公表資料では確認できませんでした
- 手元の廃油やスプレー缶が特別管理産業廃棄物にあたるかどうかの個別判定はしていません
この範囲を扱う記事: 見積書の項目を分けて比べる手順を見る
参照した資料
資料 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「処分基準(政令第6条、第6条の5)」 (2026年8月11日確認)
資料 環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」 (令和8年3月27日公表)
資料 大阪府「その他の特別管理産業廃棄物等のQ&A」 (引火性廃油の取扱い。2025年8月15日最終更新)
資料 厚生省「廃棄物処理事業における爆発事故防止対策の徹底について」(平成9年12月16日 衛産67号) (環境省 法令・告示・通達に掲載)
資料 大阪湾広域臨海環境整備センター「処分料金表」 (令和7年4月改定・消費税10%を含む1トンあたりの金額)
資料 大阪湾広域臨海環境整備センター「よくあるご質問」 (受入できない廃棄物。2026年8月11日確認)
資料 公益財団法人岡山県環境保全事業団「産業廃棄物の種類別処理処分単価表」 (2021年9月公表版・税抜・埋立処分は別途産業廃棄物税1,000円/トン)
資料 一般財団法人クリーンいわて事業団「いわてクリーンセンター 受入品目・処理料金」 (令和6年8月1日から適用・税抜・単位は円/10kg)