産廃の収集運搬料金・費用の相場と内訳
公表されている産業廃棄物の処理料金表は、いずれも処分に係る料金です。排出場所から施設まで運ぶ費用は別に決まります。この記事では、収集運搬費が何で決まるのかと、見積書で確認する項目を整理します。
この記事の結論
- 公表されている処理料金表は処分に係る料金です。収集運搬費は含まれていないため、処分費の相場だけを見て総額を見積もると不足します。
- 収集運搬費は「距離に比例して増える費用」と「距離に関係なく発生する費用」に分かれます。積載量を増やして回収回数を減らすと、後者の負担が下がります。
- 見積書では収集運搬費と処分費が分かれていること、数量の単位(重量・容積・台数)が処分費側とそろっていることを確認します。
公表料金表に収集運搬費は載っていない
産業廃棄物の費用を調べると、処理施設が公表している料金表が見つかります。ただしこれらはいずれも処分に係る料金で、排出場所から施設まで運ぶ費用は含まれていません。
秋田県が公表している施設横断の料金表も、各施設の欄は「処分費」と「産廃税」の内訳で構成されており、運搬費の欄はありません。つまり、処分費の水準を調べただけでは、自社が支払う総額の一部しか分からないことになります。
収集運搬費が総額に占める割合は、排出場所と施設の距離、1回あたりの排出量、車両の種類で変わります。距離が近く排出量が多い事業所と、距離が遠く少量ずつ排出する事業所では、同じ廃棄物でも総額が大きく変わります。
運賃は距離と拘束時間のどちらかで決まる
産業廃棄物の収集運搬に公定価格はありません。ただし、貸切トラック運送の運賃の組み立て方は、国が告示している「標準的な運賃」の考え方が参考になります。運賃表は距離制と時間制の2つの形で作られています。
| 運賃の形 | 何に対して課金するか | 費用の中身 |
|---|---|---|
| 距離制運賃 | 走行するキロ程 | 走行距離に比例して発生する費用(変動費)と、走行距離に関係なく発生する費用(固定費) |
| 時間制運賃 | 車両の拘束時間 | 1時間あたりの固定費に拘束時間を乗じたもの |
出典公益社団法人全日本トラック協会「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃について」(2020年8月発行・国土交通省関東運輸局サイト掲載)
この2つの組み立て方から分かるのは、走行距離に関係なく1回ごとに発生する費用があるということです。少量を高頻度で回収すると、この部分が回数分だけ積み上がります。保管場所を確保して1回あたりの積載量を増やせるなら、回数を減らす方向の見直しが効きます。
2024年以降の運送コストの前提
国土交通省は令和6年3月22日に新たな標準的な運賃を告示しました(令和6年国土交通省告示第209号)。運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算する内容です。背景には、令和6年度からトラック運転者に年間960時間の時間外労働の上限が適用されたことがあります。
標準的な運賃は一般貨物自動車運送事業に係るもので、産業廃棄物収集運搬業の料金を定めたものではありません。ただし運送側のコスト前提が上がったこと、荷待ち時間や荷役作業が対価の対象として明示されたことは、収集運搬費の交渉材料として押さえておく意味があります。
現場での積込み待ちや、荷降ろし先での順番待ちが長い場合、その時間は運送側の費用として計上されるようになっています。回収時刻の指定や現場の受入体制も、金額に関係する要素です。
許可の区分が運搬の組み方を決める
収集運搬費の見積もりを読むときは、その業者がどの許可でどこまで運べるのかを併せて確認します。
| 区分 | 内容 | 許可の範囲 |
|---|---|---|
| 収集運搬業 (積替え・保管を含まない) | 排出場所から処理施設まで直行で運ぶ | 平成23年4月1日から、都道府県知事の許可でその都道府県内全域の収集運搬が可能 |
| 収集運搬業 (積替え・保管を含む) | 途中で別の車両に積み替える、一時的に保管する | 各自治体(都道府県または政令市)の許可が必要 |
| 処分業(中間処理) | 焼却・破砕・脱水などの処理(再生を含む) | 各自治体の許可が必要 |
| 処分業(最終処分) | 埋立処分 | 各自治体の許可が必要 |
出典大阪市「産業廃棄物の処理を行うために必要な許可」/埼玉県「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化について(積替え保管を除く)」
許可の有効期間は新規・更新とも5年で、優良基準に適合する事業者は7年の特例を受けられます。積込み場所と荷降ろし場所が別の都道府県にまたがる場合は、それぞれの許可が必要です。委託契約書には許可証の写しを添付します。
見積書の収集運搬費で確認する7項目
収集運搬費が総額に埋もれていると、値上げを提示されたときにどこが上がったのかを確かめられません。次の7項目を見積書で確認します。
- 収集運搬費と処分費が分かれているか — 一式表記の場合は内訳を依頼します
- 課金の単位 — 1回あたりか、重量あたりか、容積あたりか、台数あたりか
- 処分費側の単位とそろっているか — 運搬が台数建て、処分が重量建てだと総額の検算ができません
- 回収頻度と1回あたりの想定量 — 想定量を下回る回収でも同額請求になるかを確認します
- 待機時間の扱い — 現場での待ち時間が別料金になるか、含まれるか
- 容器・コンテナの費用 — 貸出料・設置費が別建てかどうか
- 運搬の最終目的地 — 契約書の記載事項でもあり、距離の前提が分かります
このうち3番目は見落としやすい項目です。単位がそろっていない見積もりは、合計金額を検算できません。運搬が「1台あたり」、処分が「1トンあたり」で書かれている場合は、1台あたりの積載重量を確認して同じ単位に直します。
よくある質問
収集運搬費が見積書に書かれていません。どうすればよいですか。
産業廃棄物処理委託契約書には、法令で定められた事項を書面で記載する必要があり、料金や運搬の最終目的地の所在地もその対象です。収集運搬と処分を別の業者に委託する場合は、それぞれと契約を結びます。見積段階でも内訳を分けて出してもらいます。
収集運搬業の許可は、運ぶ都道府県ごとに必要ですか。
積替え・保管を含まない収集運搬業については、平成23年4月1日から都道府県知事の許可でその都道府県内全域の収集運搬ができるようになりました。積込み場所と荷降ろし場所が別の都道府県にまたがる場合は、それぞれの許可が必要です。
回収の頻度を減らせば安くなりますか。
運賃には走行距離に関係なく1回ごとに発生する費用が含まれるため、1回あたりの積載量を増やして回数を減らせば、その分の負担は下がります。ただし保管場所の確保と保管基準の遵守が前提になります。
この記事で解決しないこと
- 産業廃棄物の収集運搬料金について、全国を横断した公表相場は公的機関の資料から確認できませんでした。この記事では金額の目安を示していません。
- 国土交通省が告示している「標準的な運賃」は一般貨物自動車運送事業の運賃であり、産業廃棄物の収集運搬料金そのものではありません。費用の構造を読む参考として引用しています。
- 距離・車種・積載量・待機時間で金額は変わるため、他社の事例をそのまま自社に当てはめることはできません。
この範囲を扱う記事: 処分費の種類別の水準を見る
参照した資料
資料 国土交通省「新たなトラックの標準的運賃を告示しました」 (令和6年3月22日・運賃水準を8%引き上げ、荷役の対価等を新たに加算)
資料 国土交通省「『標準的な運賃』について」 (令和6年国土交通省告示第209号)
資料 公益社団法人全日本トラック協会「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃について」 (2020年8月発行・距離制運賃と時間制運賃の考え方(国土交通省関東運輸局サイト掲載))
資料 大阪市「産業廃棄物の処理を行うために必要な許可」 (収集運搬業・処分業の区分と許可の有効期間(新規・更新は5年、優良基準適合は7年))
資料 埼玉県「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化について(積替え保管を除く)」 (平成23年4月1日以降、都道府県の事務に)
資料 東京都環境局「委託契約書」 (書面契約の義務・法定記載事項・許可証の写しの添付)
資料 秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」 (公表されている単価が処分費と産業廃棄物税の内訳で構成されている例)