蛍光灯・廃プラスチックなどの処分費相場
蛍光灯の処分でつまずくのは金額ではなく手続きです。蛍光ランプは水銀使用製品産業廃棄物にあたり、収集運搬・保管・委託契約書・マニフェストに通常の産業廃棄物と違う取り扱いが加わります。廃プラスチック類とあわせて、単価が決まる前に確定しておく条件を整理しました。
この記事の結論
- 蛍光ランプは水銀使用製品産業廃棄物にあたる。産業廃棄物の種類(ガラスくず・金属くず等)に加えて、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨を委託契約書・マニフェスト・保管場所の掲示板に記載する
- 収集運搬は破砕することのない方法で、他の物と混合するおそれのないよう区分して行う。保管は積替えの場合を除き行わない
- 蛍光ランプは水銀回収が義務づけられる27品目には含まれない。ただし中間処理では水銀が大気中に飛散しない措置が必要
- 廃プラスチック類の埋立処分の公表単価は1トンあたり16,000〜21,000円(税抜・産業廃棄物税を含まない)。焼却処分を別単価で定める施設もある
蛍光ランプは「水銀使用製品産業廃棄物」にあたる
環境省の水銀廃棄物ガイドライン(第5版・令和8年3月)は、水銀使用製品産業廃棄物の対象を次の3つに整理しています。
- 新用途水銀使用製品の製造等に関する命令第2条第1号または第3号に該当する水銀使用製品のうち、ガイドラインの表に掲げるもの
- 1を材料または部品として用いて製造される水銀使用製品
- 1・2のほか、水銀またはその化合物の使用に関する表示がされている水銀使用製品
ガイドラインの表には、直管形蛍光ランプ・環形蛍光ランプ・角形蛍光ランプ・コンパクト形蛍光ランプ・電球形蛍光ランプ・無電極蛍光ランプ・冷陰極蛍光ランプ(CCFL)・外部電極蛍光ランプ(EEFL)が掲げられています。事業所で使う蛍光灯は水銀等の使用表示の有無にかかわらず対象になります。
この区分が設けられた目的について、ガイドラインは、水銀等の大気への飛散防止等の追加的な処理基準をかけること、許可や委託契約書、マニフェスト等において取り扱いを明らかにすることで廃棄物焼却施設に投入される水銀量を削減し、水銀の大気排出を抑制することと説明しています。
単価の前に決まる4つの手続き
蛍光灯の見積もりを取る前に、次の4点が委託の前提になります。いずれも通常の産業廃棄物にはない追加の取り扱いです。
| 場面 | 求められる取り扱い |
|---|---|
| 収集・運搬 | 破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して収集または運搬する |
| 保管 | 積替えの場合を除き行わない。保管する場合は、その他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける等の措置を講ずる |
| 保管場所の掲示板 | 「廃棄物の種類」欄に、ガラスくず・金属くず・汚泥といった性状を踏まえた種類を記載したうえで、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨を追記する |
| 委託契約書・マニフェスト | 水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨およびその数量を記載する。マニフェストの産業廃棄物の種類欄にも併記されているかを確認する |
出典環境省「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」(令和8年3月)5.1 水銀使用製品産業廃棄物(2026年8月11日確認)
ガイドラインは、水銀使用製品産業廃棄物のうち水銀回収が義務づけられるものを27品目挙げています。そのうち「放電管」の項は、放電ランプ(蛍光ランプおよびHIDランプを含む)を除くと明記されています。蛍光ランプは義務対象ではありませんが、中間処理では水銀が大気中に飛散しないよう、密閉された設備内で破砕する、排気を集じん機や活性炭フィルターで処理するなどの措置が求められます。
破砕しやすい製品であることも、選別工程の基準に反映されています。ガイドラインは、選別を行う際に破損しやすい製品(蛍光ランプなど)が相互に重ならないように区分する、緩衝材を設置するなどの措置を挙げています。現場で段ボールに立てて入れる、専用容器で保管するといった運用は、この基準に沿った扱いにあたります。
廃プラスチック類の埋立処分の条件
廃プラスチック類は、新潟県の分類例では合成樹脂くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)、塗料かす(固形状)、ビニール袋、合成繊維くず等が挙げられています。
埋立処分にするには前処理が必要です。産業廃棄物処理事業振興財団が整理する処分基準では、次のいずれかが求められます。
- 焼却設備による焼却、または熱分解設備による熱分解を行うこと
- 中空でないように、かつ最大径おおむね15cm以下に破砕・切断、もしくは溶融設備を用いて溶融加工すること
この15cmという数値は料金表にも表れます。島根県が公表する建設副産物受入単価の廃プラスチック受入施設の欄には、最大径が概ね15cm以下は9,000円/立方メートル、最大径が概ね50cm程度は12,500円/立方メートル、フレコンパックは13,000円/立方メートル、と大きさで単価を分けている施設が掲載されています。同じ表には別途破砕前処理費8,000円/立方メートルという記載もあります。
出典大阪湾広域臨海環境整備センター・岡山県環境保全事業団の公表料金表(編集部で1トンあたり・消費税抜きに換算)(2026年8月11日確認。岡山の埋立処分には別途産業廃棄物税1,000円/トンが加わる)
環境省の令和5年度実績では、廃プラスチック類の排出量は約786万トン(全体の2.1%)、最終処分の比率は13.9%です。
出典環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」(令和8年3月27日公表。「ガラスくず等」はガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず)
最終処分の比率が高い品目の3番目に入っており、埋立の単価が費用に効きやすい品目です。破砕・切断で最大径を下げるか、焼却に回すかで単価の系統が変わります。
がれき類の区分と「その他がれき類」
料金表や伝票で「コンクリートがら」と「その他がれき類」が別の行に分かれていることがあります。法令上の産業廃棄物の種類としては、がれき類はひとつの区分です。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| がれき類 | 工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリート破片、レンガ破片、瓦片等 |
| ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | ガラスくず、レンガくず、陶磁器くず、廃瓦、セメント製品くず、ガラス繊維くず等 |
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)、塗料かす(固形状)、ビニール袋、合成繊維くず等 |
| 金属くず | 鋳物くず、切削くず、古鉄スクラップ等 |
出典新潟県「産業廃棄物の種類と具体例」(新潟県環境局資源循環推進課)(2026年8月11日確認)
同じレンガ片でも、工作物の除去に伴って生じたものはがれき類、製造工程で生じたものはガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずに分かれます。出どころが区分を決めるため、見積書の品目名だけでは判断できません。伝票に「その他がれき類」という行がある場合は、その行が何を指しているかを委託先に確認しておくと、マニフェストの種類欄と食い違いません。
見積書と契約書で確認する項目
| 確認する項目 | 確認の内容 |
|---|---|
| 蛍光灯の記載 | 委託契約書に水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨と数量が書かれているか |
| マニフェストの種類欄 | 性状に応じた種類(ガラスくず・金属くず等)と、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨が併記されているか |
| 運搬・保管の方法 | 破砕しない運搬か。他の廃棄物と区分されているか。保管場所の掲示板に追記があるか |
| 廃プラの単位 | 円/トンか円/m³か。大きさで単価が変わる料金体系か |
| 前処理費 | 破砕・切断の費用が処分費と分けて記載されているか |
| 品目の切り分け | 「その他がれき類」等の行が何を指すか。がれき類とガラスくず等の区分が出どころと合っているか |
| 産業廃棄物税 | 埋立処分になる場合に加算されるか。搬入先の道府県が導入しているか |
出典環境省「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「処分基準」、各施設の公表料金表の記載項目をもとに編集部で整理
よくある質問
蛍光灯を委託するのに特別な許可区分が必要ですか。
マニフェストの産業廃棄物の種類欄には、ガラスくず・金属くず・汚泥など水銀使用製品産業廃棄物の性状を踏まえた産業廃棄物の種類を記載したうえで、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨も記載することとされています。委託先の許可品目も、この性状に応じた種類で確認する流れになります。
蛍光灯は割って捨ててもよいですか。
収集運搬は破砕することのないような方法により、他の物と混合するおそれのないよう区分して行うことが定められています。中間処理で破砕する場合は、密閉された設備内で行う、排気を集じん機や活性炭フィルターで処理するなど、水銀が大気中に飛散しないようにすることが求められます。
廃プラスチック類を埋め立てるときの条件は何ですか。
焼却設備による焼却もしくは熱分解設備による熱分解を行うか、中空でないように、かつ最大径おおむね15cm以下に破砕・切断、もしくは溶融設備を用いて溶融加工することが処分基準で定められています。
この記事で分からないこと
- 蛍光ランプ・水銀使用製品産業廃棄物の処理単価は、公的機関の公表資料ではこの記事の調査で確認できませんでした。本数あたり・重量あたりの目安は掲載していません
- 公表単価は処分側の受入単価です。収集運搬費・破砕等の中間処理費を含む請求総額とは一致しません
- 委託先が水銀使用製品産業廃棄物を扱えるかどうかの個別判定はしていません。確認する項目だけを示しています
この範囲を扱う記事: 委託先の許可の確認手順を見る
参照した資料
資料 環境省「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」(令和8年3月) (環境再生・資源循環局 廃棄物規制担当参事官室)
資料 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「処分基準(政令第6条、第6条の5)」 (2026年8月11日確認)
資料 環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」 (令和8年3月27日公表)
資料 大阪湾広域臨海環境整備センター「処分料金表」 (令和7年4月改定・消費税10%を含む1トンあたりの金額)
資料 公益財団法人岡山県環境保全事業団「産業廃棄物の種類別処理処分単価表」 (2021年9月公表版・税抜・埋立処分は別途産業廃棄物税1,000円/トン)
資料 島根県「建設副産物受入単価(令和8年6月1日臨時改定)」 (廃プラスチック受入施設の欄。2026年8月11日確認・消費税を含まない単価)
資料 新潟県「産業廃棄物の種類と具体例」 (新潟県環境局資源循環推進課。2026年8月11日確認)