産廃処理業者の料金・値段の相場を業者間で比較する
1社の見積もりだけを見ても、その金額が高いのか安いのかは分かりません。都道府県が公表している施設横断の料金表を使うと、同じ品目の単価が施設間でどのくらい開くかを実データで確認できます。
この記事の結論
- 同じ品目でも、施設によって処分費は数倍開きます。秋田県の公表表では有筋コンクリート殻の処分費が200円/トンから18,000円/トンまで分布し、中央値は2,400円/トンでした。
- 高い・安いは単価の数字だけでは決まりません。単位(円/トンか円/台か)、産業廃棄物税の内数・外数、受入条件の厳しさが金額に含まれています。
- 比較するときは、最安値ではなく中央付近の帯に対して自社の見積もりがどこにあるかを見ます。極端に安い単価には受入条件の制限が付いていることがあります。
実データで見る「同じ品目の単価の開き」
秋田県は、県内の処理施設ごとの建設副産物の処理料金を1つの表にまとめて公表しています。8地区・数十施設分の単価が同じ様式で並んでいるため、同じ品目の単価が施設間でどれだけ開くかを実データで確認できます。
以下は、この表の「処分費」欄(産業廃棄物税を除いた金額)を品目ごとに集計したものです。
| 品目 | 記載施設数 | 最も低い | 中央値 | 中心の帯 | 最も高い |
|---|---|---|---|---|---|
| コンクリート殻(有筋) | 56 | 200 | 2,400 | 1,800〜3,000 | 18,000 |
| コンクリート殻(無筋) | 58 | 200 | 1,800 | 1,500〜2,400 | 70,000 |
| コンクリート殻(二次製品) | 55 | 1,400 | 3,000 | 2,300〜4,700 | 70,000 |
| アスファルト殻(塊) | 53 | 300 | 1,500 | 1,300〜2,500 | 70,000 |
| アスファルト殻(切削材) | 46 | 300 | 1,500 | 1,200〜2,000 | 70,000 |
| 木くず | 33 | 12,000 | 25,000 | 18,500〜31,000 | 48,182 |
| 抜根 | 27 | 14,500 | 30,000 | 22,000〜41,000 | 100,000 |
| 汚泥(有機) | 7 | 12,909 | 38,000 | 19,818〜45,000 | 53,000 |
| 汚泥(無機) | 9 | 13,090 | 25,000 | 16,500〜39,000 | 45,000 |
出典秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」の「処分費」欄から編集部が集計単位は円/トン・令和7年10月1日以降適用・「中心の帯」は下から4分の1から4分の3までの範囲
コンクリート殻(有筋)の中央値は2,400円/トンですが、最も低い施設は200円/トン、最も高い施設は18,000円/トンです。最安値と最高値だけを見ると比較の目安になりません。中心の帯(1,800〜3,000円/トン)に対して自社の見積もりがどこにあるかを見る方が実務的です。
出典秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」から編集部が集計(各施設の「処分費」欄の中央値・令和7年10月1日以降適用)
コンクリート殻とアスファルト殻は、中央値でみると1,500〜3,000円/トンの範囲に収まります。有筋と無筋で差が出るのは、鉄筋を分離する手間が処理工程に入るためです。
出典秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」から編集部が集計(各施設の「処分費」欄の中央値・令和7年10月1日以降適用)
一方、木くず・抜根・汚泥は桁が変わります。中央値で25,000〜38,000円/トンとなり、がれき類系の10倍以上です。品目が違えば単価が違うのは当然ですが、10倍の差があることを知らないまま「処理費が高い」と判断すると、交渉の対象を取り違えます。
金額が開く5つの理由
同じ表の中で単価が開くのは、値付けが恣意的だからではありません。次の5つが単価に織り込まれています。
| 理由 | 見積書・料金表での現れ方 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 単位の違い | 円/トンと円/台が同じ表に混在する | 台建てなら積載容量と重量換算係数を聞く |
| 税の内数・外数 | 産業廃棄物税を単価に含む施設と別記する施設がある | 「処分費」と「産廃税」が分かれているか見る |
| 受入条件 | 大きさの制限(50cm角以下など)、分別の程度、異物混入の可否 | 条件を満たすための自社側の手間を金額に換算する |
| 処理方法 | 中間処理(破砕・焼却)か最終処分(埋立)か | 契約書の「処分方法」欄と照合する |
| 性状の区分 | 汚泥の有機・無機、含水率、木くずの樹種 | 自社の廃棄物がどの区分に当たるか事前に決める |
出典秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」の注意書きおよび各施設の受入条件欄
秋田県の表の注意書きには、トラック1台あたりで料金設定している処理場があること、土砂の付着や異物の混入がある建設廃棄物は単価割り増しまたは受入不可となる処理場がほとんどであること、汚泥の有機・無機の分類基準は化学的分析等によることが明記されています。単価の低さは、条件の厳しさとセットになっていることがあります。
秋田県の表には換算の計算例が載っています。建設発生木材の重量換算係数を0.4トン/立方メートル、10トンダンプの荷台容量を6.0立方メートル/台とすると、1台あたりの積載重量は2.4トン。26,000円/台であれば 26,000 ÷ 2.4 ≒ 10,830円/トン となります。台建ての見積もりは、この計算をしてからでないとトン建ての見積もりと並べられません。
料金表と一緒に確認する項目
金額の比較は、委託先として適格かどうかを確認したうえで意味を持ちます。料金を聞くときに同時に確認しておく項目は次のとおりです。
- 許可の内容 — 産業廃棄物処理業の許可番号、許可の有効期間、事業の範囲(取り扱える廃棄物の種類)
- 許可の区分 — 収集運搬業か処分業か。両方を1社に委託する場合もそれぞれの許可が要ります
- 優良認定の有無 — 優良産廃処理業者認定制度の認定を受けているか
- 公表情報 — 処理状況や施設の維持管理状況をインターネットで公表しているか
許可の内容は、環境省が案内する産廃情報ネットの「産業廃棄物処理業許可行政情報検索システム」で許可番号・許可期間・優良認定の有無を検索できます。優良認定を受けた業者は「優良さんぱいナビ」から探せます。
価格帯のどこに自社があるかを見る
集計した表を使うときの読み方をまとめます。
- 中央値との差が2倍以内なら、価格帯の中にあります。単価そのものより、単位・税・受入条件のそろい方を先に確認します
- 中央値の半分以下なら、受入条件や処理方法が他社と違う可能性があります。契約書の処分方法欄と受入基準を確認します
- 中央値の3倍以上なら、品目の区分が違っている可能性があります。たとえば混合状態で出しているために高い方の単価が適用されていないかを確認します
よくある質問
一番安い業者を選べばよいのではありませんか。
単価が低い行には、受入条件の制限(大きさ・分別の程度・異物混入の可否)が付いていることがあります。条件を満たすために自社側で分別や小割りの手間が増えると、総額では逆転する場合があります。単価と受入条件はセットで見ます。
見積もりは何社から取ればよいですか。
件数の基準を示した公的な資料は確認できていません。ただし価格帯の位置を知るには、同じ条件で複数社に同じ廃棄物の種類・数量・性状を伝えることが前提になります。条件がそろっていない見積もりは並べても比較になりません。
料金を公表していない業者は避けるべきですか。
料金の公表は許可の要件ではありません。ただし優良産廃処理業者認定制度では、処理状況や施設の維持管理状況などをインターネットで一定期間以上公表していることが認定基準の一つになっています。
この記事で解決しないこと
- 集計したのは秋田県の1年度分の公表表です。他の都道府県・他の年度にそのまま当てはめることはできません。
- 集計対象は処分費のみで、収集運搬費は含みません。実際に支払う金額は運搬距離によって変わります。
- 表には消費税の扱いが明記されていないため、この記事では税込・税抜を断定していません。
- 表の注意書きにあるとおり、一部の施設はトラック1台あたりの単価で記載されています。最大値の側にはこの形式の値が混ざっている可能性があります。
この範囲を扱う記事: 単位の換算のしかたを見る
参照した資料
資料 秋田県「令和7年度建設副産物処理料金表(情報公開用)」 (令和7年10月1日以降適用・鹿角/北秋田/山本/秋田/由利/仙北/平鹿/雄勝の8地区)
資料 環境省「優良産廃処理業者認定制度」 (平成23年4月1日運用開始・都道府県および政令市が審査認定)
資料 環境省「産業廃棄物処理業者の情報」 (さんぱいくん・産業廃棄物処理業許可行政情報検索システム・優良さんぱいナビの案内)
資料 公益財団法人島根県環境管理センター「処理料金表」 (処理単価と総額単価を分けて公表している例)