産廃許可はどこが出す?都道府県・市の管轄と確認方法
「県の許可があれば市の許可は要らないのか」「うちの市は許可を出す市なのか」。この2つは廃棄物処理法施行令第27条と2011年4月の制度変更で決まっています。管轄の分かれ目と、許可の有無を自分で調べる窓口をまとめます。
この記事の結論
- 産業廃棄物処理業の許可を出すのは、都道府県知事または指定都市・中核市の長です。国や市町村一般ではありません
- 収集運搬業(積替え保管を含まないもの)は 2011年4月1日 から都道府県単位になりました。県の許可でその県内全域を運搬できます
- 処分業と、積替え保管を含む収集運搬業は、施設や保管場所のある自治体の許可です。ここだけ市の許可が残ります
許可を出すのは都道府県知事か、指定都市・中核市の長
産業廃棄物の収集運搬・処分を業として行う者は、その業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定められています(廃棄物処理法第14条第1項・第6項)。
この「都道府県知事の権限に属する事務」の一部は、同法第24条の2にもとづき政令で市の長が行うことになっています。その割り振りを書いているのが施行令第27条です。同条にいう市は、地方自治法上の指定都市の長と中核市の長で、実務ではこれを「政令市」と呼びます。
つまり許可の窓口は、47の都道府県と、指定都市・中核市です。市町村一般でも、国でもありません。
| 区分 | 数 | 基準日 |
|---|---|---|
| 都道府県 | 47 | — |
| 指定都市 | 20市 | 令和4年7月5日現在 |
| 中核市 | 62市 | 令和5年4月1日現在 |
出典総務省「指定都市一覧」「地方公共団体の区分:中核市・施行時特例市」(各ページ記載の基準日)
中核市の指定は年度ごとに増えるため、自社の所在地の市が該当するかは、上記の総務省ページか、その市の産業廃棄物担当課のページで確認します。
収集運搬業は2011年4月から都道府県単位になった
以前は、産業廃棄物の積卸しを行うすべての都道府県または政令市の許可が必要でした。環境省の資料では、全国で収集運搬業を行う場合は109の許可を受けて5年ごとに更新する必要があったと説明されています。
これが2011年(平成23年)4月1日から変わりました。原則として、一の政令市を越えて収集運搬の業を行う場合は都道府県の許可を受けることとされ、全国で業を行う場合も原則47の都道府県知事の許可でよくなりました。
ただし、政令市の許可が必要な場合が2つ残っています。
軸 01政令市の許可が必要になる場合収集運搬業の場合
| 場面 | 許可を出すのは | 根拠 |
|---|---|---|
| 県内の複数市町村で積卸しを行う(積替え保管なし) | 都道府県知事 | 法第14条第1項 |
| 政令市の区域内で積替え保管を行う | その政令市の長 | 令第27条第5号 |
| 県内の一の政令市のみで業を行う | その政令市の長 | 令第27条第5号 |
| 処分(中間処理・最終処分)を行う | 施設のある都道府県知事または政令市長 | 法第14条第6項 |
出典環境省「産業廃棄物の収集運搬業許可の合理化」/e-Gov法令検索(法第14条・令第27条)(2026年8月11日確認)
環境省の資料には、市域を越える範囲での収集運搬を業として行う県の許可を受けた業者が、一の政令市内での収集運搬を行うことは可能である旨の注記があります。県の許可を持つ業者に市内だけの運搬を頼めるかという疑問は、ここで解けます。
埼玉県の処理業者名簿には「さいたま市、川越市、川口市及び越谷市の処分業許可業者につきましては、各市へお問い合わせください」との案内があります。処分業は施設のある自治体の許可なので、県の名簿には載りません。名簿を1つ見て「載っていない=無許可」と読まないための注意点です。
許可を確認する3つの窓口を使い分ける
許可の有無を調べる方法は3つあり、それぞれ守備範囲が違います。
軸 02確認先ごとの守備範囲契約前は左から順に使う
| 確認先 | 分かること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 委託先から受け取る許可証の写し | 許可番号、事業の範囲、有効年月日、優良認定の有無 | 契約前の照合(委託契約書への添付が法定) |
| 産廃情報ネット「さんぱいくん」 | 廃棄物の種類・許可自治体・業の区分・優良認定の有無からの検索、固有番号や業者名からの検索 | 相手方の許可を全国横断で当たるとき |
| 許可を出した自治体の名簿・検索システム | その自治体が許可した業者の一覧(基準日つき) | 許可権者が特定できているとき |
出典産廃情報ネット(さんぱいくん)/東京都環境局「産業廃棄物処理業者の情報を調べるには」/埼玉県「産業廃棄物処理業者名簿」(2026年8月11日確認)
自治体の名簿には基準日があります。埼玉県の名簿は2025年4月1日現在、東京都は検索システムで許可番号・業者名・代表者名・許可住所・業の区分・扱い廃棄物・登録車両番号から引けます。基準日以降の許可の取消しや失効は名簿に反映されていないことがあるため、契約直前の確認は許可証の写しで行います。
確認の手順
- 自社が委託する行為を分ける — 運搬だけか、処分も含むか。運搬に積替え保管が入るか
- その行為の許可権者を上の表で特定する — 運搬は積卸しを行う区域の都道府県、処分は施設のある自治体
- 許可証の写しを受け取り、許可権者・事業の範囲・有効年月日を見る — 委託する廃棄物の種類が事業の範囲に入っているかまで見ます
- さんぱいくんまたは自治体の名簿で裏を取る — 許可番号で引き当てられるかを確認します
許可の有効期間は5年です(施行令第6条の9・第6条の11)。優良産廃処理業者と認められた場合は7年になります。更新のたびに許可番号は引き継がれますが、有効年月日は変わるため、契約更新のたびに写しを取り直すのが実務です。
よくある質問
県の許可を持つ業者に、市内だけの運搬を頼めますか。
収集運搬業(積替え保管を含まないもの)は、都道府県知事の許可でその都道府県内全域の運搬ができます。環境省の資料でも、市域を越える範囲での許可を受けた業者が一の政令市内での収集運搬を行うことは可能とされています。
産業廃棄物の許可を出す「政令市」とはどの市ですか。
廃棄物処理法施行令第27条により、地方自治法上の指定都市の長と中核市の長です。総務省の公表では指定都市が20市、中核市が62市(令和5年4月1日現在)です。
許可の有無はどこで調べられますか。
委託先から受け取る許可証の写し、産廃情報ネット「さんぱいくん」、許可を出した自治体が公表する処理業者名簿の3つです。3つは掲載範囲と更新のタイミングが違うので、契約前は許可証の写しで確認します。
この記事で解決しないこと
- 個々の事業者の許可情報そのものは載せていません。引くのは産廃情報ネットと自治体の名簿です
- 自治体の条例による上乗せ手続(事前協議など)は自治体ごとに異なるため、個別の内容までは扱いません
- 許可申請をする側の手続(申請書類・手数料)は範囲外です。この記事は委託する側の確認の話です
この範囲を扱う記事: 許可・制度の記事をまとめて見る
参照した資料
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号) (第14条第1項・第6項、第24条の2(2026年8月11日確認))
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(昭和46年政令第300号) (第6条の9、第6条の11、第27条(2026年8月11日確認))
資料 環境省「産業廃棄物の収集運搬業許可の合理化」 (改正概要・効果・関連改正)
資料 総務省「指定都市一覧」 (指定都市20市)
資料 総務省「地方公共団体の区分:中核市・施行時特例市」 (中核市62市(令和5年4月1日現在))
資料 埼玉県「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化について(積替え保管を除く)」 (県の許可で県内全域が可能になった旨)
資料 大阪市「産業廃棄物の処理を行うために必要な許可」 (積替え保管を含む場合の事前協議、許可の有効期間)
資料 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「産廃情報ネット(さんぱいくん)」 (地域・許可情報/業者名・固有番号/優良認定業者一覧から検索)
資料 東京都環境局「産業廃棄物処理業者の情報を調べるには」 (東京都産業廃棄物処理業者検索システムの案内)
資料 埼玉県「産業廃棄物処理業者名簿」 (2025年4月1日現在の名簿(Excel))