産廃の許可の種類と対象品目・処理範囲
「産廃の許可を持っています」という説明だけでは、自社の廃棄物を委託してよいかは判断できません。許可は業の区分・廃棄物の種類・処理の方法の組み合わせで与えられます。その組み合わせの読み方を整理します。
この記事でわかること
- 許可は 4 つの業の区分(産業廃棄物/特別管理産業廃棄物 × 収集運搬業/処分業)に分かれます
- そのうえで、取り扱える廃棄物の種類が 20 種類区分の名前で許可証に列挙されます
- 委託してよいかの判断は「業の区分」と「許可品目に自社の廃棄物が入っているか」の2点を許可証で確かめるところから始まります
許可は3つの掛け算で決まる
産業廃棄物処理業の許可は、ひとまとまりの資格ではありません。次の3つの組み合わせで、できることの範囲が決まります。
- 業の区分 — 収集運搬業か、処分業か。通常の産業廃棄物か、特別管理産業廃棄物か
- 廃棄物の種類 — 20種類区分のうち、どの種類を取り扱えるか
- 処理の方法 — 収集運搬では積替え・保管の有無、処分では中間処理か最終処分か
委託する側が確認するのは、この3つが自社の委託内容を覆っているかです。東京都環境局は、産業廃棄物の運搬にあたって委託先が収集運搬の許可等を有し、委託する産業廃棄物がその許可品目の中に含まれていることを確認するよう案内しており、許可品目に含まれていない廃棄物の委託は委託基準違反として罰則の対象になるとしています。
4つの業の区分
軸 01業の区分と、必要になる場面収集運搬と処分は別の許可
| 業の区分 | できること | この許可が要る委託 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業 | 産業廃棄物を集めて運ぶ | 排出場所から処理施設まで運んでもらう |
| 産業廃棄物処分業 | 産業廃棄物を中間処理または最終処分する | 焼却・破砕・脱水・選別・埋立を任せる |
| 特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 特別管理産業廃棄物を集めて運ぶ | 廃PCB等・廃石綿等・感染性産業廃棄物などの運搬 |
| 特別管理産業廃棄物処分業 | 特別管理産業廃棄物を中間処理または最終処分する | 同上の処分 |
出典東京都環境局「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」「特別管理産業廃棄物とは」(2026年8月11日確認)
特別管理産業廃棄物は、廃棄物処理法で「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」と定義されています。東京都環境局は主な種類として、廃油・廃酸・廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(廃PCB等・廃水銀等・廃石綿等・ばいじん・指定下水汚泥)を挙げています。該当するかどうかは性状の基準で決まるため、自社の廃棄物が当てはまるかは許可権限を持つ自治体の窓口で確認します。運搬・処分には専用の許可が必要で、通常の産業廃棄物の許可では扱えません。
また、特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者には、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置く義務があります。委託先の許可を見る前に、自社側の設置状況を確認する項目です。
収集運搬業の「積替え・保管」
収集運搬業の許可には、積替え・保管を含むものと含まないものの区分があります。東京都環境局の申請区分でも、収集運搬業(積替え保管を含む)と(積替え保管を除く)が別に扱われています。
- 積替え・保管を含まない — 排出場所から処理施設まで直行で運ぶ
- 積替え・保管を含む — 途中の保管場所でいったん降ろし、別の車両に積み替えて運ぶ
小口の廃棄物をまとめて運ぶ運用や、遠方の処理施設へ中継して運ぶ運用では、積替え・保管を含む許可が必要になります。見積書に中継拠点の名前が出てきたときは、この区分を確認します。
処分業の「中間処理」と「最終処分」
処分業は、大きく中間処理と最終処分に分かれます。
- 中間処理 — 焼却・破砕・脱水・選別・溶融など、性状や量を変える処理
- 最終処分 — 埋立処分(安定型・管理型・遮断型の各処分場)
委託契約書には「処分・再生の方法と施設処理能力」「最終処分の場所・方法・施設処理能力」を書くことになっているため、中間処理を委託する場合でも、その先の最終処分の場所まで特定できているかが確認点になります。
対象品目は20種類区分で書かれる
許可証の「事業の範囲」欄に並ぶ品目名は、廃棄物処理法の20種類区分の呼び方です。法で直接定められた6種類と、政令で定められた14種類に分かれます。
軸 02産業廃棄物の20種類区分(13)〜(19)は業種限定あり
| 区分 | 種類 | 具体例 |
|---|---|---|
| (1) 法で定める | 燃え殻 | 石炭がら、灰かす、廃棄物焼却灰 |
| (2) 法で定める | 汚泥 | 製紙スラッジ、下水汚泥、めっき汚泥 |
| (3) 法で定める | 廃油 | 潤滑油系、切削油系、動植物油系廃油 |
| (4) 法で定める | 廃酸 | 硫酸、塩酸、有機廃酸 |
| (5) 法で定める | 廃アルカリ | 廃ソーダ液、廃灰汁 |
| (6) 法で定める | 廃プラスチック類 | 発泡スチロール、廃タイヤ |
| (7) 政令で定める | ゴムくず | 天然ゴム切断くず、ゴム引布くず |
| (8) 政令で定める | 金属くず | 鉄くず、銅線くず、バリ |
| (9) 政令で定める | ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 廃ビン、コンクリートブロックくず、タイルくず |
| (10) 政令で定める | 鉱さい | スラグ、ドロス、鋳物廃砂 |
| (11) 政令で定める | がれき類 | コンクリート破片、レンガ破片 |
| (12) 政令で定める | ばいじん | 電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト |
| (13) 業種限定 | 紙くず | 建設業、パルプ・紙製造業、新聞業、出版業、製本業など |
| (14) 業種限定 | 木くず | 建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業など |
| (15) 業種限定 | 繊維くず | 建設業、繊維工業(衣服製造業を除く) |
| (16) 業種限定 | 動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業 |
| (17) 業種限定 | 動物系固形不要物 | と畜場、食鳥処理場 |
| (18) 業種限定 | 動物のふん尿 | 畜産農業 |
| (19) 業種限定 | 動物の死体 | 畜産農業 |
| (20) 政令で定める | 施行令第2条第13号に規定する産業廃棄物 | 有害汚泥のコンクリート固形物、焼却灰の溶融固形化物 |
出典東京都環境局「産業廃棄物の種類」「産業廃棄物の具体例」(2026年8月11日確認)
紙くず・木くず・繊維くず・動物系固形不要物・動植物性残さ・動物のふん尿・動物の死体は、日本標準産業分類による業種に該当した場合に産業廃棄物となり、それ以外の場合は事業系の一般廃棄物になります。事業系一般廃棄物は産業廃棄物処理業の許可では扱えないため、自社の業種を先に確認します。
許可証のどこを見るか
委託先から受け取る許可証の写しで、次の欄を順に見ます。
- 許可の種類 — 産業廃棄物収集運搬業/産業廃棄物処分業/特別管理の別
- 許可番号と許可をした自治体名 — さんぱいくんの処理業許可情報検索で照合できる
- 事業の範囲 — 取り扱う産業廃棄物の種類(20種類区分の名前)と、収集運搬では積替え保管の有無、処分では処理方法
- 許可の年月日と有効年月日 — 契約期間が有効年月日を越えていないか
- 許可の条件 — 「石綿含有産業廃棄物を除く」などの限定が付くことがある
契約時には、この許可証の写しを委託契約書に添付します(省令第8条の4)。
公的な検索先
環境省は、産業廃棄物処理業者の情報を確認できる場所として次を案内しています。
| 名称 | 運営 | 確認できること |
|---|---|---|
| さんぱいくん(産廃情報ネット) | 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 | 都道府県・政令市から提供された処理業者情報、処理業者が登録した会社情報・許可証の写し等 |
| 処理業許可情報検索 | 同上(2022年6月に環境省から移転) | 許可番号、許可期間、優良認定の有無等の基本情報 |
| 優良さんぱいナビ | 同上 | 優良産廃処理業者認定制度の認定を受けた処理業者の情報 |
| 許可取消処分情報 | 同上(2022年6月に環境省から移転) | 処理業の許可または処理施設の設置許可の取消処分情報 |
出典環境省「産業廃棄物処理業者の情報」(2026年8月11日確認)
よくある質問
収集運搬業の許可があれば処分も委託できますか。
できません。収集運搬業と処分業は別の許可です。委託契約も、運搬は収集運搬業者と、処分は処分業者とそれぞれ結ぶ二者契約が原則とされています(千葉県の案内による)。1社が両方の許可を持っている場合もあるため、許可証で業の区分を確認します。
「混合廃棄物」は許可品目のどれにあたりますか。
20種類区分に「混合廃棄物」という種類はありません。実際には複数の種類が混ざった状態を指す呼び方で、許可品目としては含まれる種類がそれぞれ列挙されている必要があります。委託前に、混ざっている種類を分けて書き出します。
業種によって産業廃棄物にならないものがあると聞きました。
20種類のうち、紙くず・木くず・繊維くず・動物系固形不要物・動植物性残さ・動物のふん尿・動物の死体は、日本標準産業分類による特定の業種から出た場合に産業廃棄物となり、それ以外は事業系の一般廃棄物になります(東京都環境局)。一般廃棄物は産業廃棄物処理業の許可では扱えません。
この記事で解決しないこと
- 特定の業者の許可が自社の委託内容に足りているかどうかの個別判断はしません。確認する欄と手順を示すところまでです
- 自社の廃棄物がどの種類に該当するかの最終判断は、排出の実態を見る必要があるため、許可権限を持つ自治体の窓口で確認します
- 許可を取得する側の申請手続きは扱いません
この範囲を扱う記事: 許可の取得要件と必要な資格を読む
参照した資料
資料 東京都環境局「産業廃棄物の種類」 (法で定める6種類・政令で定める14種類、業種限定のある種類(2026年8月11日確認))
資料 東京都環境局「産業廃棄物の具体例」 (20種類それぞれの具体例と業種限定の範囲(2026年8月11日確認))
資料 東京都環境局「特別管理産業廃棄物とは」 (定義・種類・特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務(2026年8月11日確認))
資料 東京都環境局「処理を委託する場合」 (委託先の許可品目の確認、委託基準違反と罰則(2026年8月11日確認))
資料 千葉県「産業廃棄物処理委託について」 (二者契約・書面契約・許可証の写しの添付(政令第6条の2、省令第8条の4))
資料 環境省「産業廃棄物処理業者の情報」 (さんぱいくん・優良さんぱいナビ・許可取消処分情報の案内(2026年8月11日確認))
資料 東京都環境局「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」 (収集運搬業(積替え保管を含む/除く)・処分業の申請区分(2026年8月11日確認))