産廃許可の取得要件・必要な資格
委託先がどういう審査を通って許可を得ているのかが分かると、許可証の重みが読めるようになります。自社で許可を取る場合の準備の見通しも同じ枠組みで立てられます。要件を3つに分けて整理しました。
この記事でわかること
- 審査は 3 つ(施設に係る基準・申請者の能力に係る基準・欠格要件)に分かれます
- 必要な「資格」は国家資格ではなく、日本産業廃棄物処理振興センターの講習会の修了証です
- 新規許可申請の手数料は収集運搬業が 81,000 円、処分業が 100,000 円です(愛知県・大阪府・東京都の公表額)
審査は3つに分かれる
産業廃棄物処理業の許可は、次の3つの観点で審査されます。どれか1つでも満たさなければ許可は出ません。
軸 01許可審査の3区分具体的な基準は申請先の自治体の審査基準による
| 区分 | 見られること | 排出事業者から見た意味 |
|---|---|---|
| 施設に係る基準 | 運搬車・容器・積替え保管施設などが、飛散・流出・悪臭の発生を防げる構造か | 自社の廃棄物の性状に合う設備を持っているか |
| 申請者の能力に係る基準 | 的確に行うに足りる知識・技能と、継続して行うに足りる経理的基礎があるか | 契約期間中、事業を続けられる体力があるか |
| 欠格要件 | 法に定める欠格事由に該当しないか(法第14条第5項第2号) | 許可の取消しにつながる事情がないか |
出典群馬県「欠格要件について」ほか、各自治体の許可申請案内(2026年8月11日確認)
このうち排出事業者が委託前に外から確認できるのは、許可が現に有効かどうかに限られます。審査の中身そのものは自治体が確認しています。だからこそ、許可証の有効年月日と事業の範囲を毎回見ることに意味があります。
「資格」の正体は講習会の修了証
産業廃棄物処理業の許可に、国家資格の保有は要件になっていません。申請時に添付するのは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物処理業の許可に関する講習会」の修了証です。
大阪府の案内では、新規許可申請は修了証の添付が必須で、修了証がなければ受け付けられないとされています。更新・変更許可申請については、申請時に有効な修了証がない場合、受講票の写しと誓約書で対応できるとしています。
軸 02新規講習会の受講料オンライン形式と対面形式で額が異なる
| 課程 | オンライン | 対面 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物 収集運搬課程 | 27,500円 | 33,000円 |
| 産業廃棄物 処分課程 | 42,900円 | 53,900円 |
| 産業廃棄物 両課程 | 62,700円 | 74,800円 |
| 特別管理産業廃棄物 収集運搬課程 | 40,700円 | 51,700円 |
| 特別管理産業廃棄物 処分課程 | 61,600円 | 75,900円 |
| 特別管理産業廃棄物 両課程 | 91,300円 | 108,900円 |
出典公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「産業廃棄物処理業(新規)講習会」(2026年8月11日確認)
修了証には有効期間がありますが、更新課程の修了証の取扱いは自治体ごとに見直しが行われています。この記事では確認できた一次情報がないため年数を載せていません。申請先の自治体の許可申請の手引きで、修了証の有効期間の要件を確認してください。
申請にかかる費用と期間
手数料は自治体が公表しています。新規許可申請の額は、確認できた3自治体で一致していました。
| 項目 | 収集運搬業(積替え保管を含まない) | 処分業 | 確認元 |
|---|---|---|---|
| 新規許可申請 | 81,000円 | 100,000円 | 愛知県・大阪府・東京都 |
| 更新許可申請 | 73,000円 | — | 愛知県・大阪府 |
| 変更許可申請 | 71,000円 | — | 大阪府 |
| 標準処理期間 | 39日(土日祝を除く) | — | 愛知県 |
出典愛知県行政手続情報案内システム、大阪府、東京都環境局の各公表資料(2026年8月11日確認)
更新・変更の手数料は、自治体によって公表額が異なる場合があります。上の表には、複数の自治体で同じ額を確認できたものだけを載せています。申請先の自治体の公表資料で必ず確認してください。
欠格要件の中身
欠格要件は、法に従った適正な業の遂行を期待できない者を類型化して排除するための規定です。群馬県は廃棄物処理法第14条第5項第2号について、次の類型を挙げています。
- イ 法第7条第5項第4号イからチまでのいずれかに該当する者(心身の故障、破産、一定の刑に処せられた者、法令違反による罰金刑など)
- ロ 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- ハ 成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人がイまたはロに該当するもの
- ニ 法人で、その役員または政令で定める使用人のうちにイまたはロのいずれかに該当する者があるもの
- ホ 個人で、政令で定める使用人のうちにイまたはロのいずれかに該当する者があるもの
- ヘ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
「政令で定める使用人」には、本店支店の代表者や、継続的に業務を行う施設で廃棄物の収集若しくは運搬又は処分若しくは再生の業に係る契約を締結する権限を有する者が含まれます。代表者だけでなく、契約権限を持つ支店長・営業所長も対象になる点が実務上の要点です。
通常の許可基準より厳しい基準がある
環境省の優良産廃処理業者認定制度は、平成23年4月1日から運用されている制度で、通常の許可基準よりも厳しい基準に適合した処理業者を都道府県・政令市が審査して認定します。認定基準は、遵法性・事業の透明性・環境配慮の取組・電子マニフェスト・財務体質の健全性の5項目です。
許可の要件を満たしていることと、優良認定の基準を満たしていることは別の水準です。委託先を選ぶときの材料としては、許可の有無は入口の条件、優良認定の有無は上乗せの情報という位置づけになります。
よくある質問
産業廃棄物処理業の許可に国家資格は必要ですか。
国家資格の保有は要件になっていません。申請にあたっては、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する産業廃棄物処理業の許可に関する講習会を修了し、その修了証を添付します。大阪府では新規許可申請で修了証の添付が必須とされています。
会社を設立したばかりでも許可を取れますか。
設立年数そのものを制限する定めは確認できていません。ただし申請者の能力に係る基準として、事業を継続して行うに足りる経理的基礎が審査されます。判断の基準は申請先の自治体の審査基準で示されるため、事前に確認します。
役員が過去に処分を受けていると許可は取れませんか。
廃棄物処理法第14条第5項第2号の欠格要件に、法人でその役員または政令で定める使用人のうちに同号イ・ロに該当する者があるものが挙げられています。政令で定める使用人には、本店支店の代表者や、継続的に業務を行う施設で廃棄物の収集・運搬・処分・再生の業に係る契約を締結する権限を有する者が含まれます(群馬県)。
この記事で解決しないこと
- 個別の申請が要件を満たすかどうかの判断はしません。申請先の自治体の審査基準を確認する必要があります
- 手数料・標準処理期間は自治体ごとに公表額が異なる項目があります。この記事は確認できた自治体の数値のみを載せています
- 講習会の修了証の有効期間は、自治体によって取扱いが異なるため数値を載せていません
この範囲を扱う記事: 許可の種類と対象品目を読む
参照した資料
資料 群馬県「欠格要件について」 (廃棄物処理法第14条第5項第2号イ〜ヘ、政令で定める使用人の範囲(2026年8月11日確認))
資料 大阪府「産業廃棄物処理業(積替え・保管を含まない収集運搬業)の許可申請手続き」 (講習会修了証の添付要件、手数料(新規81,000円・更新73,000円・変更71,000円)(2026年8月11日確認))
資料 愛知県「産業廃棄物収集運搬業の許可」(愛知県行政手続情報案内システム) (標準処理期間39日(土日祝を除く)、手数料(新規81,000円・更新73,000円)(2026年8月11日確認))
資料 東京都環境局「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」 (新規許可申請手数料(収集運搬業81,000円・処分業100,000円)(2026年8月11日確認))
資料 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「産業廃棄物処理業(新規)講習会」 (課程別の受講料(オンライン・対面)(2026年8月11日確認))
資料 環境省「優良産廃処理業者認定制度について」 (平成23年4月1日運用開始、認定基準5項目)