産廃業者の選び方(中小企業の担当者向け)
初めて委託先を選ぶとき、比べる前にやることがあります。自社が出す廃棄物の種類を確定させ、その種類を扱える許可を持つ相手だけに候補を絞る作業です。順番を逆にすると、料金だけで比べることになります。
この記事の結論
- 選定は料金の比較から始めません。廃棄物の種類の確定 → 許可の照合 → 料金の把握の順です
- 委託先を処理料金の安さだけで選定しないことが、環境省のチェックリストに明記されています
- 委託しても排出事業者の処理責任は移りません。契約内容の根幹(種類・数量・料金・有効期間)を第三者に委ねないことが求められています
手順1 自社が出す廃棄物の種類を確定させる
選定の起点は相手ではなく自社側です。産業廃棄物は法第2条第4項各号と施行令で20種類に区分され、種類ごとに扱える許可が違います。
環境省のチェックリストは、排出する廃棄物が一般廃棄物か産業廃棄物か、産業廃棄物である場合はどの種類に該当するのかを把握し、分類に応じて分別することが「適正処理を確保する上で大変重要です」と記載しています。委託契約した種類以外の産業廃棄物を委託処理することは、委託基準違反等になりますとも書かれています。
| 区分 | 種類の例 |
|---|---|
| あらゆる事業活動に伴うもの | 燃え殻/汚泥/廃油/廃酸/廃アルカリ/廃プラスチック類/ゴムくず/金属くず/ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず/鉱さい/がれき類/ばいじん |
| 特定の事業活動に伴うもの | 紙くず/木くず/繊維くず/動植物性残さ/動物系固形不要物/動物のふん尿/動物の死体 |
| 上記を処分するために処理したもの | コンクリート固型化物 |
出典環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」【産業廃棄物の種類】(令和5年3月一部改訂)
紙くず・木くず・繊維くずは、建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたもの)など発生する業種が限定されています。同じ「紙くず」でも業種によって産業廃棄物か事業系一般廃棄物かが分かれるため、ここで取り違えると委託先の許可も変わります。
手順2 必要な許可の種類と、許可を出した自治体を特定する
運搬を頼むなら産業廃棄物収集運搬業の許可、処分を頼むなら産業廃棄物処分業の許可です(法第14条第1項・第6項)。運搬と処分をそれぞれ別の会社に頼む場合は、それぞれと直接契約します。
許可を出すのは都道府県知事、または指定都市・中核市の長です。収集運搬業(積替え保管を含まないもの)は都道府県単位なので、県の許可があればその県内全域の運搬ができます。
手順3 許可証の写しで3点を照合する
候補が挙がったら、許可証の写しを取り寄せて次の3点を見ます。ここまでで候補は自動的に絞られます。
- 許可の種類 — 収集運搬業か処分業か。特別管理産業廃棄物なら、その許可であるか
- 事業の範囲 — 自社が委託する廃棄物の種類が範囲に含まれているか
- 有効年月日 — 契約期間が許可の有効期間の中に収まっているか
許可の有効期間は5年、優良産廃処理業者と認められた場合は7年です。許可証の写しは委託契約書への添付が法定書類とされているため、契約時にはいずれにせよ必要になります。
環境省のチェックリストでは、委託先の要件として「産業廃棄物処理業の許可等を有しているか」が法定事項【法第12条第5項等】、「優良産業廃棄物処理業者であるかを考慮しているか」は法定事項ではないが排出事業者責任を果たし適正処理を確保する上で重要な項目、と区別されています。
手順4 処理料金を把握する(安さだけで選ばない)
環境省のチェックリストは、委託先の選定について「委託先の産業廃棄物処理業者を処理料金の安さだけで安易に選定せず、信頼に値するかどうかを、自らの責任で見極める必要があります」と記載しています。
料金については、「適正な対価を負担していない場合」を一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて著しく低廉な料金で委託する場合と説明し、地域における一般的な処理料金の半値程度またはそれを下回る料金で委託している場合は、合理性を示せないときに適正な対価を負担していないことになると書いています。
料金の水準を知る手がかりとして、同チェックリストは次の2つを参考になるものとして挙げています。
- 食品リサイクル法の登録再生利用事業者は料金を公示していること
- 優良産業廃棄物処理業者は料金の提示方法を公表していること
手順5 契約の中身を自社で決める
委託の契約は、運搬と処分それぞれの受託者と直接結び、書面で行います。チェックリストの「廃棄物引渡し前」の項目には、「収集運搬業者、処分業者それぞれと直接契約しているか」「契約内容について自ら決定したか」が並んでいます。
仲介や紹介が入る場合の注意も明記されています。処理委託の根幹的内容(委託する廃棄物の種類・数量、委託者が受託者に支払う料金、委託契約の有効期間等)は排出事業者と処理業者の間で決定するものであり、これらの決定を第三者に委ねるべきではない、という記述です。理由として、仲介料等が発生して適正な処理のための費用が処理業者に支払われなくなる状況が生じうる点が挙げられています。
手順6 引渡し後の確認方法を決めておく
委託した後の確認は、法第12条第7項の努力義務です。チェックリストは確認の方法として次の3つを挙げています。
軸 01処理状況の確認方法法第12条第7項等
| 方法 | 内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 実地確認 | 委託先の処理施設に赴いて確認する | 新規契約時/デジタルでは疑問が解消しないとき |
| 公表情報の確認 | 優良産業廃棄物処理業者に委託している場合等、処理状況や施設の維持管理の状況に関する情報を確認する | 継続契約の定期確認 |
| デジタル技術の活用 | オンライン会議システム等での稼働状況・周辺環境の確認、電磁的記録による許可内容や帳簿等の確認。複数の排出事業者での共同実施も可 | 遠隔地の施設 |
出典環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」2−5 現地確認等による処理状況の確認(令和5年3月一部改訂)
デジタル技術を使う場合でも、廃棄物の処理が行われていることを実質的に確認することが必要で、オンライン会議システム等では確認できないことが生じた場合や疑問点が解消されない場合には、実地に赴いて確認することが必要と記載されています。
実地確認の様式は、公益社団法人全国産業資源循環連合会がチェックリストを公開しています。自社で1から作らずに済みます。
よくある質問
相見積もりは何社から取ればいいですか。
社数を定めた規定はありません。環境省のチェックリストは、処理料金を把握するための措置の例として「複数の処理業者の見積もりをとること」「委託する産業廃棄物と同種の事業系一般廃棄物の市町村での処理料金の確認」を挙げています。合理的な理由なくこうした措置を講じていない場合は措置命令の対象になる可能性があると記載されています。
仲介会社を通して契約しても問題ありませんか。
環境省のチェックリストは、委託する処理業者を自らの責任で決定すべきであり、処理委託の根幹的内容(廃棄物の種類・数量、支払う料金、契約の有効期間等)は排出事業者と処理業者の間で決定するものであって、これらの決定を第三者に委ねるべきではないと記載しています。
優良認定を受けている業者を選べば確認は省けますか。
省けません。優良産廃処理業者であるかを考慮することは重要な項目とされていますが、法定事項ではなく、許可の範囲・契約書の記載事項・処理状況の確認はいずれも別に必要です。
この記事で解決しないこと
- 扱うのは確認の手順と項目です。候補の絞り込みは、この手順を自社の廃棄物に当てはめて行います
- 提示された金額の水準そのものは扱いません。料金を把握するための材料の集め方までを書いています
- 自治体の条例による上乗せ義務(実地確認の義務づけなど)は自治体ごとに異なるため、確認先の案内にとどめます
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参照した資料
資料 環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」(平成29年6月・令和5年3月一部改訂) (委託基準・委託先の選定・現地確認の記述)
資料 環境省「排出事業者責任の徹底について」 (関係通知とチェックリストの一覧)
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号) (第12条第5項〜第7項、第14条(2026年8月11日確認))
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(昭和46年政令第300号) (第6条の2(委託の基準)(2026年8月11日確認))
資料 環境省「優良産廃処理業者認定制度」 (認定の基準とさんぱいくん・優良さんぱいナビの案内)
資料 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「産廃情報ネット(さんぱいくん)」 (処理業者の検索)
資料 公益社団法人全国産業資源循環連合会「実地確認チェックリスト」 (排出事業者が処理業者を実地確認する際の様式)