契約前に確認すべき項目チェックリスト(管理責任者の確認含む)
契約前の確認は、相手を見る項目と自社を見る項目に分かれます。許可証と契約書だけを見て、自社の事業場に置く責任者の確認が抜けるのがよくある落とし方です。両方を1枚に並べます。
この記事の結論
- 委託契約は書面で行い、収集運搬業者と処分業者それぞれと直接結びます。契約書には法定記載事項と法定書類(許可証の写し等)が必要です
- 委託契約書と添付書面は、契約の終了の日から 5年 保存します(施行規則第8条の4の3)
- 相手だけでなく自社も見ます。特別管理産業廃棄物を生ずる事業場には管理責任者の設置義務があり、不設置は 30万円 以下の罰金です
契約前チェックは3層に分ける
環境省のチェックリストは、委託処理の項目を「廃棄物引渡し前」「引渡し時」「引渡し後」「処理終了時」に分けています。このうち契約前に片づくのは引渡し前の層です。中身をさらに3つに分けると、抜けが見えます。
- 委託先を見る — 許可の有無と事業の範囲
- 契約書を見る — 法定記載事項と法定書類、保存
- 自社を見る — 分別、責任者の設置、届出
3層目が抜けやすいところです。委託先の書類が揃っていても、自社の事業場に置くべき責任者がいなければ別の条文に触れます。
層1 委託先を見る
層 01委託先の要件環境省チェックリストの項目と条文
| 確認項目 | 条文 | 法定か |
|---|---|---|
| 産業廃棄物処理業の許可等を有しているか | 法第12条第5項等 | ✓ 法定事項 |
| 委託する産業廃棄物の処理が委託先の事業の範囲に含まれているか | 法第12条第6項、令第6条の2第1号・第2号等 | ✓ 法定事項 |
| 優良産業廃棄物処理業者であるかを考慮しているか | — | 法定事項ではないが重要な項目 |
| 委託先の処理能力や処理工程に照らし、処理施設の実地確認等を含め確認しているか | — | 法定事項ではないが重要な項目 |
| 特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合、あらかじめ種類や数量等を文書で通知しているか | 法第12条の2第6項、令第6条の6 | ✓ 法定事項 |
出典環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」3−3 委託処理(令和5年3月一部改訂)
法定事項と「重要な項目」が同じ表に並んでいますが、チェックリストでは注記で明確に区別されています。実地確認と優良認定の考慮は法定事項ではありません。ただし措置命令の判断材料になるため、確認したこと自体を記録に残す運用が実務的です。
層2 契約書を見る
委託契約は書面で行い、契約書に法定記載事項の条項が含まれ、かつ法定の書面が添付されていることが求められます(施行令第6条の2第4号)。記載事項は施行令に5項目、施行規則第8条の4の2にさらに9項目が置かれています。
層 02委託契約書の法定記載事項令第6条の2第4号・規則第8条の4の2
| 記載事項 | 条文 |
|---|---|
| 委託する産業廃棄物の種類および数量 | 令第6条の2第4号イ |
| 運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地 | 同号ロ |
| 処分または再生を委託するときは、その場所の所在地・方法・施設の処理能力 | 同号ハ |
| 中間処理を委託するときは、最終処分の場所の所在地・方法・施設の処理能力 | 同号ホ |
| 委託契約の有効期間 | 規則第8条の4の2第1号 |
| 委託者が受託者に支払う料金 | 同条第2号 |
| 受託者が許可を受けた者である場合には、その事業の範囲 | 同条第3号 |
| 運搬の委託で積替え・保管を行う場合は、その場所の所在地、保管できる種類、積替えのための保管上限 | 同条第4号 |
| 積替え・保管を行う場所で他の廃棄物と混合することの許否等(安定型産業廃棄物の場合) | 同条第5号 |
| 適正な処理のために必要な情報(性状・荷姿、性状の変化、混合による支障、石綿含有等の有無、取扱い上の注意事項) | 同条第6号 |
| 有効期間中に上記情報に変更があった場合の伝達方法 | 同条第7号 |
| 受託業務終了時の受託者から委託者への報告に関する事項 | 同条第8号 |
| 契約を解除した場合の、処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項 | 同条第9号 |
出典e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第6条の2、「同施行規則」第8条の4の2(2026年8月11日確認)
添付する法定書類は、受託者がその運搬・処分を業として行うことができる者であり、委託しようとする産業廃棄物がその事業の範囲に含まれることを証する書面です。施行規則第8条の4は、運搬の契約書には第10条の2に規定する許可証の写し、処分・再生の契約書には第10条の6に規定する許可証の写し等を挙げています。
保存期間は、契約の終了の日から5年です(令第6条の2第5号、規則第8条の4の3)。
規則第8条の4の2第6号の「適正な処理のために必要な情報」について、環境省のチェックリストは委託契約書に廃棄物データシート(WDS)を添付する形を挙げています。契約書の条項だけで性状・荷姿を書き切れない廃棄物では、この形が使われます。
層3 自社を見る
委託先の書類が揃っていても、排出する側に置く責任者と届出が残ります。
層 03自社の事業場に置くもの2つの責任者は対象が違う
| 項目 | 対象となる事業場 | 条文 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物処理責任者 | 自社の産業廃棄物を処理するために法第15条第1項の産業廃棄物処理施設が設置されている事業場 | 法第12条第8項 |
| 特別管理産業廃棄物管理責任者 | 事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場(事業場ごと) | 法第12条の2第8項 |
| 上記の不設置に対する罰則 | — | 法第30条第5号/30万円以下の罰金 |
| 事業場外保管の届出 | 建設工事に伴い生じる産業廃棄物を、工事現場の外の300㎡以上の場所で保管する場合(あらかじめ都道府県知事へ) | 法第12条第3項等 |
| 多量排出事業者の処理計画 | 前年度の発生量が産業廃棄物1,000トン以上、または特別管理産業廃棄物50トン以上の事業場を設置している事業者 | 法第12条第9項・第10項等 |
出典e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」/環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」3−1・3−4(2026年8月11日確認)
2つの責任者は名前が似ていますが、置く条件が違います。産業廃棄物処理責任者は自社に産業廃棄物処理施設がある場合、特別管理産業廃棄物管理責任者は特別管理産業廃棄物を出している場合です。後者は施設の有無を問わず、事業場ごとに置きます。資格要件も後者にだけあります(法第12条の2第9項)。
保管の基準も自社側の項目です。保管場所には周囲に囲いを設け、見やすい箇所に縦横それぞれ60cm以上の掲示板を設置します。掲示板には産業廃棄物の保管の場所である旨、保管する産業廃棄物の種類、保管の場所の管理者の氏名または名称および連絡先を表示します(規則第8条第1号)。
環境省のチェックリストには「都道府県等の条例等により、排出事業者が適正処理を確保する上で必要な措置等を規定している場合もあるため(排出事業者の産業廃棄物処理施設への実地確認義務等)、確認する必要があります」と記載されています。事業場外保管の届出制度も、条例等に基づき自治体で異なる場合があるとされています。契約前に、事業場のある自治体の産業廃棄物担当課のページを1度当たっておく項目です。
契約前に決めておく引渡し後の運用
契約前のうちに決めておくと後で楽になるのが、引渡し後の2点です。
- マニフェストの方式 — 紙か電子か。電子マニフェストは、廃棄物の引渡し後、遅くとも3日以内に情報処理センターへ登録します(法第12条の5第1項、規則第8条の31の3)
- 処理状況の確認方法 — 実地確認、公表情報の確認、デジタル技術の活用のどれで行うか。法第12条第7項の努力義務にあたる部分です
紙マニフェストの写しは交付の日から5年、送付を受けた写しも送付を受けた日から5年の保存です。契約書の5年保存と保存期間は同じですが、起算日が違うので、保管場所を分けるか台帳で起算日を管理する形になります。
よくある質問
委託契約書は何年保存しますか。
委託契約書および添付する書面は、その契約の終了の日から5年間保存します(施行令第6条の2第5号、施行規則第8条の4の3)。
収集運搬と処分をまとめて1本の契約にできますか。
環境省のチェックリストは、廃棄物引渡し前の確認項目として「収集運搬業者、処分業者それぞれと直接契約しているか」を挙げています。運搬と処分を別の事業者に委託する場合は、それぞれと契約を結ぶ形になります。
特別管理産業廃棄物管理責任者は誰でもなれますか。
特別管理産業廃棄物管理責任者は、環境省令で定める資格を有する者でなければならないと定められています(法第12条の2第9項)。設置義務は事業場ごとで、不設置は30万円以下の罰金の対象です(法第30条第5号)。
この記事で解決しないこと
- 契約書の文面が要件を満たしているかどうかの評価はしません。確認する項目と条文の対応を書いています
- 自治体の条例による上乗せ手続(事前協議・実地確認の義務づけなど)は自治体ごとに異なるため、確認先の案内にとどめます
- 契約解除や損害賠償など、契約上の紛争の扱いは範囲外です
この範囲を扱う記事: 許可・制度の記事をまとめて見る
参照した資料
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号) (第12条第3項・第5項〜第8項、第12条の2第5項〜第9項、第30条(2026年8月11日確認))
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(昭和46年政令第300号) (第6条の2(委託の基準)(2026年8月11日確認))
資料 e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」(昭和46年厚生省令第35号) (第8条の4、第8条の4の2、第8条の4の3(2026年8月11日確認))
資料 環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」(平成29年6月・令和5年3月一部改訂) (3−1 排出時、3−3 委託処理、3−4 その他)
資料 環境省「排出事業者責任の徹底について」 (関係通知の一覧)
資料 公益社団法人全国産業資源循環連合会「実地確認チェックリスト」 (実地確認の様式)